大工とマークアップエンジニア 〜宮内寿和を知って〜
先日、たまたま見たテレビ番組「情熱大陸」で、「大工棟梁・宮内寿和」のドキュメンタリーが放送されていました。
番組中で宮内氏は『宮内が建てるのは千年以上続く日本古来の大工技術を継承した木造の家。伝統的な工法や技術を応用しながら、あくまで現代人のライフスタイルや環境に合わせた家造りにこだわる。』と紹介されています。
施工現場での宮内氏の姿は真剣そのもので、ついつい見入ってしまいました。弟子の一人が作ってしまったわずか1.5mmのズレを見抜き叱責し、自らノコで微調整するシーンや、不注意で高所から転落しそうになった弟子に対し「工事中に死人がでた家に、施主さんは幸せに住めるか!」と声を荒げる姿を見て、「この人、自分の仕事に本当にプライドを持ち、真剣に仕事をしているんだなあ」と感動を覚えました。

僕はWEBの制作現場で、「マークアップエンジニア(以下、ME)」という職に携わっています。
ひとつのWEBサイトが完成するまでには多くの工程がありますが、最終的にWEBサーバからそれぞれのパソコンに送られるデータは「HTMLソース」であることが殆どです。(IEなどのブラウザで「ソースを表示」をクリックすると、文字列がズラーっと並んだウィンドウが開くかと思いますがそれが「HTMLソース」です。)これらを構築する「コーディング」という作業がMEの主な仕事です。
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「MEは、WEB業界の大工だ。」僕は以前からこう思っていました。
- 建築家が施主の要望を元に建築デザイン・設計を行なう、大工はその設計を元に忠実に家を組上げる。
- WEBデザイナーがクライアントやWEBプランナーの要望を元にWEBデザインを行なう。MEはそのデザインを元に忠実にWEBサイトを構築する。
- 丈夫でしなやかな家を作る為に、大工は基礎や構造設計など、様々な手法の組み合せからベストな方法を選択し、丁寧に施工を行なう。
- 正しい文書構造で拡張性あるサイトを作るために、MEは様々なマークアップ手段から無駄のない方法を選択し、ミスなくコーディングを行なう。
- 職人気質の大工は仕事の至る所にこだわりを込める。しかしこのこだわりは人目に付いて、喜ばれることを目的としていない。
- 職人気質のMEは、仕事の至る所にこだわりを込める。しかしこだわりを込めたところで、サイトの見た目が良くなるわけでもなく、クライアントも特に喜ぶことはない。
また、「コーディングはWEB業界の肉体労働だ」と言われることがあります。確かに、頭と指先を使った肉体労働といった印象もあります。
番組の最後で、宮内氏はこう話していました。「こだわればこだわるほど、工期がかかり儲けにもならん。せやけど、自分のこだわりが込もった家がこの先100年、200年と残って住む家族を幸せにする。その思いが何よりも儲けですわ。」
この言葉に、心から共感しました。
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僕を含めた一部のWEB制作者は「デザインとコーディングの分業と専門化」を理想としています。しかしWEB業界で加速する、低価格化と短納期化が、高い壁となっています。「低料金で高品質なHTMLを構築します」と、考えられないほどの破格でコーディングを行なう専門業者も多くありますが、どうも「低価格=安かろう悪かろう」が現実のようです。
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HTMLの品質がサイトの付加価値となり、ビジネスに繋がるということは、この先も少ないでしょう。しかしクライアントやインターネットユーザーが気づかないサイトの裏側で、その品質は大切な意味を持つと信じています。
WEB業界において、大工の宮内氏のように「こだわりを込めて、妥協の無い仕事をし、それが自らの喜び」といえる職人気質をもったMEでありたい。と常々思います。


〜構造という価値〜
WEBサイトは建築と同じである。
建築を学び、WEB業界に生きる私もそう思います。
そしてSEOもそうだと。
構造は英語でストラクチャと言います。
ストラクチャという言葉を生んだのは建築でした。
そして、デザイン(設計)という言葉を生んだのも建築でした。
WEBの構造を表す図面の事をストラクチャと読んだのが誰かは知りません。
しかし、その感覚に最大の賞讃を。
そして、現代のWEBに本当のデザインがあらん事を。